息づいている。折り重なっていく。羽田誠、ふたつめの作品集。

瞬間を切り取った写真は数多くあれど、時間の流れを掬い上げるような写真に出会うことは少ないでしょう。
羽田誠は、カメラが捉えた風景を、ファインダーから瞳を通り抜けるまでの時間と共に焼き付けることができる写真家です。

『鳥は泳ぐ』に続く作品集『脈々 - in vein』は、「重なる」「積み上がる」「繋がる」といったイメージの元にまとめられています。

撮り溜めた記憶の集積を再配列するという、地味な作業の繰り返し。
それは、ひとつひとつの写真の連なりに新たな文脈をもたらす儀礼でもあり、自分自身が写真を撮り続けていくことへの果てない問いかけの時間でもありました。

背伸びせずに撮った、日々の偶然との出会いが一冊の本になり、その手触りと質量が別の誰かに伝わっていく
- ちょっと先の時代へ、物静かに受け継がれていってほしい作品集ができました。

安永哲郎(安永哲郎事務室)

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羽田 誠『脈々 - in vein』

1800円+税 B5判 40p 日本製 HIROI Publishing